めまいがする
めまいがする
めまいは、回転性のものだけではなく、運動する際の不安定感や、意識が失われるような感じなど、様々な異常感覚を称し、その原因となる疾患も多岐にわたります。
めまいの原因としては、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などの内耳性めまいが最も多くみられますが、中には脳梗塞、脳出血といった脳卒中や、脳腫瘍などの脳の病気が原因のこともあります。また、不整脈や起立性調節障害、頚性めまい、心因性めまいなどもめまいの原因となります。
問診で、発症様式(単発性、反復性)、誘因(頭位変換、起立)、合併症(高血圧症、心疾患、糖尿病)、蝸牛症状(難聴、耳鳴、耳閉感)を聴取し、適宜必要な検査を行うことにより、めまいの原因を診断します。
めまいの場合、耳鼻咽喉科を受診する場合が多いと思われますが、時には脳の病気が隠れていることもありますので、気になるめまいが続く場合にはMRIなどで検査することをお勧めします。
椎骨脳底動脈循環不全は、脳幹や小脳を栄養する椎骨動脈脳底動脈系の一過性の血流低下により症状を呈する病態のことです。検査を行っても脳梗塞など脳に器質的な変化がないことが条件となります。
原因として、動脈硬化などによる狭窄や閉塞、塞栓、血圧変動などによる血流低下、頚椎変形などによる椎骨動脈の機械的圧迫、血管奇形や炎症などの血管自体の異常が指摘されています。
症状としては、めまいが最も多く、ほとんどの場合60分以内に治り、24時間以上続くことはありません。めまいの頻度は様々ですが、ほとんどの症例が1ヶ月以内にめまいを繰り返すといわれています。複視、顔面・舌・上肢などのしびれ、構音障害などが一過性に出現することもあります。
持続性知覚性姿勢誘発めまいは、慢性めまい患者の多くを占める疾患と考えられています。急なめまいなどを発症後、急性期症状は改善したにもかかわらず、雲の上を歩いているような状態が3ヶ月以上にわたってほぼ毎日みられる疾患です。
起立や歩行、急に振り向く・乗り物に乗る・家事などの体を動かす作業などの体動やテレビなどで激しい動きのある映像を見る・本などの細かい文字を見る・スーパーなどで陳列棚を見るなどの視覚刺激によりめまいが悪化します。
治療には、抗うつ薬の一種であるSSRI/SNRIの少量投与、前庭リハビリテーション、認知行動療法の有効性が報告されています。
前庭性発作症は、聴神経が血管により圧迫されることにより起こる、1分以内の短時間のめまいを繰り返す(10回以上)疾患です。
めまいの頻度は個人差があり、1日に30回も起きる方や年に数回しか起きない方もいます。めまいは回転性、非回転性のどちらの場合もありますが、患者様ごとにどちらか一方を繰り返します。
テグレトール(カルバマゼピン)が奏功することも特徴の一つです。
前庭性片頭痛は、片頭痛の症状の一つとして生じためまいのことです。症状は、日常生活に支障はあるが、なんとか可能な程度のめまいであり、持続時間は5分から72時間と個人差があります。めまいの50%以上に片頭痛、閃輝暗点、音や光過敏を伴い、めまい発作を5回以上繰り返すことが診断基準となります。
めまいの中で最も多い疾患です。寝返り、起床時、臥床時などで頭の位置や頭を動かすことによって誘発されます。回転性のめまいは数秒から数十秒で治まり、難聴や耳鳴は伴いません。内耳にある耳石の一部がはがれて半規管を浮遊し、頭の動きで移動するためにめまいが生じます。多くの場合、はがれた耳石を元の位置に戻すめまい体操(耳石置換法)により改善することができます。
難聴、耳鳴、耳のつまり感など、聴覚症状を伴うめまいを繰り返す病気です。「目が回って立っていられない」「まわりの景色がグルグル回る」という特徴的な症状が現れます。聴こえの症状は、めまいの前後に悪化し、めまいが治まると改善しますが、発作を繰り返すにつれて悪化していくこともあります。内耳のリンパ液が過剰な状態になることが原因とされており、その誘因としては、様々なストレスが関係していると考えられています。聴力検査と眼の動きを観察する眼振検査で診断します。
前庭神経炎は、前庭神経(内耳の平衡感覚を制御する神経)の炎症を指します。この状態は通常、ウイルス感染や細菌感染によって引き起こされることがありますが、自己免疫反応やその他の原因によっても発生する可能性があります。主な症状には、急性のめまい、平衡感覚の喪失、耳鳴り、吐き気、嘔吐などが含まれます。めまいは回転感やふらつき、不安定感として現れることがあります。症状は通常、片耳だけに現れ、数日から数週間続くことがあります。
頚性めまいは、頚部(首)の問題が原因で起こるめまいやふらつきの症状を指します。頚椎(首の骨)や周囲の筋肉、靭帯、神経などに異常がある場合に発生します。原因は、首の捻挫やけが、頚椎の変形、頚部の筋肉の緊張、または神経根の圧迫などが考えられています。
頚性めまいの特徴的症状としては頚部痛が挙げられます。ほとんどの患者様は頚部痛を自覚しますが、中には触診で初めて痛みが判明することもあります。頚性めまいには確立された診断方法はありませんが、頚部の運動で突然めまいが誘発され、めまいは数分から数時間続きます。 X線やCT、MRIにより脊柱管狭窄症や変形性頚椎症などが見つかることがあります。
軽症の場合、筋弛緩剤の内服により数日で改善することもありますが、頚性神経筋症候群といわれる、重度の肩こりによってめまいが生じている方は動悸、息切れ、手足の冷え、全身倦怠感など様々な症状を訴えることがあり、難治性です。このような症状が長く続くと、うつ状態になってしまうことがあるといわれ、実際にうつ病と診断され治療を受けている方もいらっしゃいます。治療法として、遠赤外線などで体の中心を温めて、低周波治療器で電気刺激を与える方法などが行われています。
心因性めまいは、主に心理的な要因によって引き起こされるめまいやふらつきの状態を指します。内耳や中枢神経系に器質的な問題がない場合に発生し、主に心理的なストレス、不安、うつ症状などが関連していると考えられています。症状は、めまいやふらつき、不安、緊張、または現実感の喪失など、様々な形で現れることがあります。これらの症状は、特定のストレスの状況や心理的な負荷に関連して発生し、症状の程度や頻度は個人によって異なります。
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