
早期アルツハイマー病治療薬 レケンビ・ケサンラ
早期アルツハイマー病治療薬 レケンビ・ケサンラ
認知症とは、様々な病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態をいいます。
厚生労働省の統計によると2025年、後期高齢者の人口が急増し高齢者認知症の患者は700万人を超え、認知症患者の増加により社会的・経済的な負担が増大し、様々な分野に影響を与えると予想されています。
認知症は高齢者の5人に1人、国民の17人に1人がかかると予測され、誰でもなりうる身近な病気です。
軽度の認知症と加齢による物忘れはよく似た症状を起こしますが、認知症は進行し、主に記憶力や判断力がだんだんと低下し、日常生活に支障が出る病気です。
しかしながら認知症は早期発見、早期の対策(治療)で自立した生活をより長く続けることができると言われています。
加齢による物忘れ | MCI (軽度認知障害) |
認知症 | |
---|---|---|---|
原因 | 脳の生理的な変化 | 脳の神経細胞の変性・脱落 脳血管障害 |
脳の神経細胞の変性・脱落 脳血管障害 |
判断力 | 低下しない | 少し低下 | 低下する |
進行 | あまり進行しない | 認知症へ進行する 可能性がある一方 健常に戻ることもある |
だんだん進行する |
物忘れ | 体験したことの 一部を忘れる |
体験したことの 一部を忘れる (ヒントがあれば思い出す) |
体験したこと自体を 忘れる |
物忘れの自覚 | ある | 自覚があることが多い | ない |
日常生活 | 特に支障はない | 何らかの工夫や 支援があれば自立できる |
支障がある 自立できない |
感情面 | 大きな変化はなし | 感情のコントロールが 難しくなる |
感情的になる 意欲の低下 |
上記の治療薬以外に、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβを除去し、症状の進行を遅らせる効果が期待されるレカネマブ(レケンビ)とドマネマブ(ケサンラ)があります。
レケンビは、アミロイドβが異常な蓄積を起こす過程でできるアミロイドβプロトフィブリルに結合して脳から取り除き、脳へのアミロイドβ蓄積を減少させます。その結果アルツハイマー病の進行を遅らせることが期待されます。
(イメージ図)
レケンビは、点滴で投与する薬です。2週間に一度、1回およそ1時間かけて点滴をします。投与期間中に、数回頭部MRI検査を受けていただく必要があります。
※投与開始後18ヵ月を目安に、医師が症状等に基づき薬の効果や病気の進み具合などを確認し、レケンビでの治療の継続または中止を判断します。
※アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症
ケサンラは、脳にたまったアミロイドβプラークを取り除くお薬です。
その結果、アルツハイマー病の進行をゆるやかにする効果が期待されます。
アミロイドPET検査により、アミロイドベータプラークの除去が確認されたら投与完了となります。
除去が確認されない場合は、原則最長1年半(18ヵ月)で完了します。
※ 1年から1年半後を目安に検査で確認します。
レケンビ・ケサンラ投与中は特に注意の必要な副作用「アナフィラキシーを含む重篤な過敏症」があります。
アミロイドβを減少させる薬を使用すると、脳のむくみや脳出血がMRI検査で見つけられるARIA(脳画像関連画像異常)という副作用が現れることがあります。
ARIAは投与開始からおよそ6ヶ月の間に起こることが多く、ほとんどの場合が無症状ですが、まれに頭痛・錯乱・視覚障害・めまい・吐き気・歩行障害などの症状が現れることもあります。症状がある場合投与を中断することもあります。
診察
初診時は、ご本人の日常生活の様子をよくご存知の方と受診してください。
※問診内容(現在かかっている病気・これまでにかかったことのある病気・教育歴・家族歴など)をまとめてきていただけるとスムーズです。
神経心理検査・MRIを行います
初回導入可能施設へご紹介
MCI・軽度認知症であって、原因としてアルツハイマー病が疑われる場合、投与希望の方は近隣の初回導入可能施設へご紹介いたします。
投与開始
必要な検査を行い、投与適応と診断されたら投与開始となります。
詳細は投与スケジュールをご確認ください。
点滴開始から6ヶ月以降はフォローアップ投与可能施設である当院で継続投与を行えます。
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